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大学「無償化」の誤解6選:修学支援新制度で本当に無料になるものは?【2026年版】

更新日:2026-04-10 / 全学年 / 無償化の誤解

「大学無償化」という言葉が生む誤解

2020年から始まった「高等教育の修学支援新制度」は、メディアや口コミで「大学無償化」と呼ばれることが増えています。2025年度に多子世帯への所得制限が撤廃されたことで、さらに「大学の費用が無料になった」という誤解が広がっています。

しかし実際には、大学の費用がゼロになることはありません。この記事では代表的な誤解を6つ取り上げ、正確な制度の実態をお伝えします。


誤解① 「修学支援新制度で大学が全額無料になった」

❌ 誤解

大学無償化が実現したから、学費はかからなくなった。

✅ 正しい理解

修学支援新制度は「対象世帯の授業料等を一定額まで減免する制度」です。減免には上限があり、以下の費用は制度の対象外として全額自己負担です。

  • 施設設備費(私立大学平均:約172,550円/年)
  • 教材費・実験実習費
  • 生活費・食費・住居費
  • 交通費・通学費

JASSO「令和6年度学生生活調査」によると、大学生の年間学生生活費(学費+生活費)の平均は約202万円です。支援を受けても生活費約80万円は保護者・学生の負担です。


誤解② 「所得制限が撤廃されたから全員が対象になった」

❌ 誤解

2025年度から所得制限が撤廃されたので、どの家庭でも修学支援新制度を使える。

✅ 正しい理解

2025年度に撤廃されたのは「**多子世帯(扶養する子が3人以上の世帯)**に対する所得制限」です。それ以外の世帯は引き続き年収の上限(約380万円未満)が支援の条件です。

世帯区分 2025年度以降の条件
多子世帯(扶養子3人以上) 所得制限なし(第IV区分として1/4支援)
左記以外の低所得世帯 年収約380万円未満(変更なし)
年収380万円以上の一般世帯(子2人以下) 対象外

年収が高い家庭でも、扶養する子が3人以上いれば1/4程度の支援が受けられますが、「全員対象・全額無料」ではありません。


誤解③ 「入学金も修学支援新制度でカバーされる」

❌ 誤解

入学金も含めてすべての学費が免除される。

✅ 正しい理解

入学金は修学支援新制度の授業料等減免の対象ですが、入学年のみ・上限内のみです。

費目 対象可否 備考
授業料 ✅ 対象 上限あり(国公立約54万円、私立約70万円/年)
入学金 ✅ 対象 入学年のみ・上限あり
施設設備費 ❌ 対象外 全額自己負担
教材費 ❌ 対象外 全額自己負担

私立大学の施設設備費(平均約172,550円/年)は対象外のため、支援を受けても施設費は4年間で約69万円が別途自己負担となります。


誤解④ 「国立大学なら修学支援新制度で全額無料になる」

❌ 誤解

国立大学なら授業料が安いので、支援で全額カバーできる。

✅ 正しい理解

第I区分(住民税非課税世帯等)であれば、国立大学の授業料(標準額:535,800円)はほぼ全額が減免対象となります。ただし生活費・仕送りは対象外です。

国立大学生の学生生活費(学費+生活費)の年間平均は、一人暮らしの場合約180万円(JASSO令和6年度)です。授業料の減免で約54万円が補填されても、残りの約126万円は保護者・学生が負担します。


誤解⑤ 「修学支援新制度を受ければ仕送りは不要になる」

❌ 誤解

修学支援新制度があれば、親が仕送りしなくても大学に通える。

✅ 正しい理解

修学支援新制度は「授業料」の補填であり、生活費・仕送りには直接適用されません。給付型奨学金がセットで支給されますが、金額は月2〜8万円程度(居住形態・区分により異なる)で、生活費全体をカバーするものではありません。

JASSO令和6年度調査では、大学生の収入における家庭からの支援(仕送り等)は年平均**1,029,700円(月約85,800円)**を占めています。修学支援を受けても、一定の仕送りは多くの家庭で必要です。


誤解⑥ 「一度受給すれば卒業まで継続される」

❌ 誤解

修学支援新制度は一度申請すれば4年間ずっと続く。

✅ 正しい理解

修学支援新制度は毎年度の継続申請と審査が必要です。以下の条件を満たさなかった場合、支援が減額または廃止されます。

審査区分 基準
家計要件 世帯収入が引き続き対象区分の範囲内
学業要件 修得単位数・GPA等が大学の定める基準以上

学業成績が基準を下回ると「警告」が発せられ、2回目で「廃止」になります。廃止後の再申請は原則不可です。


修学支援新制度の正しい位置づけ

修学支援新制度は、低所得世帯・多子世帯の授業料負担を軽減するための「重要な制度」ですが、大学費用全体をカバーするものではありません。

費目 年間金額(目安) 支援の有無
国立大学授業料 535,800円 ✅ 減免(条件あり)
私立大学授業料 968,069円 ✅ 上限70万円まで減免
私立大学施設設備費 172,550円 ❌ 全額自己負担
仕送り(一人暮らし・年) 約100万円 ❌ 全額保護者・学生負担
生活費(食費・光熱費等) 約80万円 ❌ 全額自己負担

出典:文部科学省「令和7年度 私立大学大学院入学者に係る学生納付金等調査」、JASSO「令和6年度学生生活調査結果」


よくある誤解 Q&A

Q. 年収が少し高い(380万円以上)と制度の対象外になりますか? A. 子どもが2人以下の世帯の場合、年収約380万円以上では現行制度の対象外になります。ただし多子世帯(3人以上扶養)であれば所得制限なしで1/4支援が受けられます。

Q. 修学支援新制度以外の奨学金制度はありますか? A. あります。日本学生支援機構の貸与型奨学金(第一種・第二種)のほか、大学独自の奨学金、自治体・財団の給付型奨学金など多数あります。修学支援新制度と貸与型奨学金の併用も可能です。

Q. 海外留学中も修学支援新制度は継続されますか? A. 在籍する日本の大学が認定した留学(交換留学等)であれば継続される場合があります。ただし条件があるため、大学の担当窓口に確認してください。


正しく制度を理解した上で、大学費用を計画する

修学支援新制度は「授業料の一部を補填する重要な制度」です。制度を正しく理解した上で、施設費・生活費・仕送りも含めた大学4年間の費用全体を事前に把握し、家計の計画を立てることが重要です。


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