共働きで妻が専業主婦になったら教育費はどう変わる?年収別シミュレーション
結論:専業主婦転換で「教育費の総額は変わらない」が「準備できる金額は大きく変わる」
妻が仕事を辞めて専業主婦になることを検討している家庭では、「子どもの教育費は大丈夫か」という不安がよく出てきます。
結論から言うと、子どもの教育費総額は変わりません。私立か公立か、塾や習い事の選択次第で決まるからです。しかし毎月積み立てられる金額は大きく変わります。特に共働きで教育費の積み立てを進めていた場合、収入が減ることで積み立てペースが落ち、大学費用の準備が不足するリスクがあります。
この記事では、専業主婦転換が教育費計画に与える影響を年収帯別に試算し、対処法を整理します。
妻の収入がなくなることで変わること・変わらないこと
変わること
| 項目 | 共働き時 | 専業主婦転換後 |
|---|---|---|
| 世帯手取り収入 | 夫婦合計 | 夫の収入のみ |
| 毎月の積立余力 | 大きい | 小さくなる |
| 教育費NISAの積立額 | 月3〜10万円も可 | 月1〜3万円に抑制 |
| 家計のゆとり感 | 余裕あり | タイトになる場合多い |
変わらないこと
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 教育費の総額 | 進路・学校種別で決まる。親の収入では変わらない |
| 就学支援金の支給額 | 2026年から所得制限なし。専業主婦でも同額受給可 |
| 修学支援新制度 | 世帯年収が下がれば、むしろ対象になりやすくなる |
| 子どもの学習意欲 | 環境・関わり方次第 |
年収帯別シミュレーション
前提条件
- 子ども:2人(3歳差)
- 進路:公立中高→私立大学(自宅通学)
- 大学費用の目標:2人合計で約400〜500万円(在学中の授業料+入学金ベース)
パターンA:共働き世帯年収700万円(夫400万・妻300万)→妻が退職
転換前(共働き時)
| 項目 | 月額 |
|---|---|
| 手取り収入合計 | 約47万円 |
| 生活費・住宅ローン | 約28万円 |
| 習い事・塾 | 約3万円 |
| 教育費NISA積立 | 月4万円 |
| 老後・その他積立 | 月8万円 |
| 残余 | 約4万円 |
転換後(夫400万円のみ)
| 項目 | 月額 |
|---|---|
| 手取り収入 | 約27万円 |
| 生活費・住宅ローン | 約25万円 |
| 習い事・塾 | 約3万円 |
| 教育費NISA積立 | 月1〜2万円 |
| 老後積立 | 月1〜2万円 |
| 残余 | ほぼゼロ〜赤字 |
この場合、教育費の積み立てペースが月4万→月1〜2万円に半減以下になります。子どもが小学生のうちに転換すると、大学費用の積立不足が生じやすくなります。
パターンB:共働き世帯年収900万円(夫600万・妻300万)→妻が退職
転換後(夫600万円のみ)
| 項目 | 月額 |
|---|---|
| 手取り収入 | 約38万円 |
| 生活費・住宅ローン | 約25万円 |
| 習い事・塾 | 約4万円 |
| 教育費NISA積立 | 月3万円 |
| 老後積立 | 月3〜4万円 |
| 残余 | 約2〜3万円 |
夫の収入が600万円以上あると、専業主婦に転換しても教育費の積み立てを月3万円程度維持できます。ただし共働き時より積立ペースは落ちるため、大学費用の充足率は下がります。
転換のタイミングで変わる影響度
子どもが小さいうちの転換(〜小学3年生)
大学入学まで10年以上あります。転換後の収入でも月2〜3万円の積み立てを続ければ、大学費用をある程度準備できます。ただし2人分の大学費用を確保するには、習い事や生活費の見直しが必要になる場合があります。
子どもが中学生以降の転換
大学入学まで3〜6年です。この段階で転換すると、月の積立余力が限られるため、すでに貯めた額に頼ることになります。転換前に大学費用の目標額を試算し、不足分を確認してから判断することが重要です。
専業主婦転換前に確認すべき3つのこと
1. 大学費用の「今の積立残高」と「必要額の差」を確認する
転換の前に、現時点での積立残高と大学費用の目標額を比較します。差額が大きい場合は、転換後の積立ペースで間に合うかを試算してください。
2. 就学支援金・修学支援制度の対象になるか確認する
専業主婦転換により世帯年収が下がると、高等教育の修学支援新制度(大学の授業料減免・給付型奨学金)の対象になる可能性が上がります。
目安:
- 世帯年収約380万円未満:修学支援新制度の対象
- 高校段階:就学支援金は2026年から所得制限なし(収入に関わらず受給可)
3. 共働き継続のコストと比較する
転換を検討している理由(育児・体調・キャリアの方向性)によって正解は異なります。保育費・通勤コスト・精神的なコストを差し引いた「実質的な働いている収入」と教育費積立への影響を比較した上で判断することをおすすめします。
よくある疑問 Q&A
Q. 時短勤務(フルタイムではない)での転換でも影響は大きいですか?
A. 時短勤務から専業主婦への転換は、すでに収入が低下している状態からのステップになります。もともとの共働き時より積立余力が少ないため、影響は相対的に小さくなる場合があります。ただし完全に収入がゼロになることの影響は変わりません。
Q. 専業主婦転換後に教育費のNISAはどう管理すべきですか?
A. 夫の収入から引き続き積み立てを続けることができます。NISAは個人の口座ですが、入金元は夫の口座でも問題ありません(贈与税の観点から、夫婦間のお金の移動は問題ないことが一般的ですが、詳細は税理士に確認してください)。
Q. 転換後に教育費が不足しそうな場合、どうすればいいですか?
A. ①就学支援金・修学支援制度など公的制度を最大活用、②子どもが高校生になってからパートなどで収入を補う、③奨学金(特に給付型)を調べる、の3つが現実的な選択肢です。
Q. 共働きを維持しながら教育費と老後資金を両立する方法が知りたい。
A. 共働きでサイドFIRE志向:NISAと教育費を同時進行する月次計画もご参照ください。
あなたの家庭の教育費計画を試算する
専業主婦転換後の収入で「大学費用は何割準備できるか」を、家族構成・子どもの学年を入れて確認できます。
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出典・参考資料
- 文部科学省「子供の学習費調査」令和5年度版
- 文部科学省「私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査」
- 高等学校等就学支援金の支給に関する法律施行令の一部を改正する政令(令和8年政令第88号)