教育費ガイド

NISAで貯めた教育費はいつ取り崩す?出口戦略の完全ガイド

更新日:2026-05-21 / 全学年 / 教育費積み立て・NISA・出口戦略

結論:大学入学の3〜5年前(子が13〜15歳頃)から段階的に現金化するのが基本

NISAで教育費を積み立てている多くの親御さんが「いつ売ればいいか」で迷います。結論から言えば、大学入学の3〜5年前、子どもが中学1〜2年生(13〜14歳)頃から段階的に現金化を始めるのが基本的な考え方です。

「大学入学直前まで運用し続けた方が増える」という考えも理解できますが、大学入学直前に市場が大きく下落していた場合、必要な教育費が確保できなくなるリスクがあります。NISAの出口戦略とは、この「直前暴落リスク」を避けながら、運用益をできる限り活かすための段階的な計画です。

重要:NISAを含む投資信託・株式への投資には元本割れリスクがあります。この記事の試算・スケジュールはあくまで参考であり、運用結果を保証するものではありません。


なぜ「大学直前まで全額NISA」は危ないのか

市場暴落のリスク

過去の株式市場では、数年に1度の頻度で大きな下落が起きています。

主な下落イベント(参考) 期間 下落幅(参考)
リーマンショック(2008年) 約1年半 世界株式▲50%超
コロナショック(2020年) 約1〜2か月 世界株式▲30%程度
米国利上げ局面(2022年) 約1年 世界株式▲20〜25%程度

(出典:各種株価指数の過去実績。過去の実績は将来を保証するものではありません。)

仮に18年間積み立てて1,000万円まで増やしていたとしても、大学入学の1〜2年前に30%下落していれば、評価額は700万円程度まで下がる可能性があります。

「待つ」ができないのが教育費

老後資金であれば「相場が戻るまで待てる」という選択肢があります。しかし教育費は入学金の支払い期限があり、相場が戻るまで待つことができません。「いつ必要か」が確定している資金は、使う時期が近づくにつれてリスクを下げる必要があります


理想的な出口スケジュール

子どもの年齢と必要資金の種類に応じて、段階的に現金化するスケジュールを立てましょう。

出口スケジュール全体像

子どもの年齢 時期 推奨アクション
0〜12歳(小学校まで) 積み立て期 積み立て継続。株式インデックス100%が基本
13〜14歳(中学1〜2年) 移行期① 積み立ては継続しつつ、一部を現金・債券に切り替え開始
15〜16歳(中3〜高1) 移行期② 大学入学金・初年度費用分(目安100〜150万円)を現金化
17〜18歳(高2〜高3) 現金化期 初年度授業料・入学金分を現金化し、使える状態にしておく
大学1〜4年生 取り崩し期 在学中の学費分を年ごとに現金化して使う

ステップ別:出口戦略の詳細

ステップ①:積み立て期(子ども0〜12歳)

この時期はひたすら積み立てに集中します。子どもが小さいほど運用期間が長く取れるため、株式インデックスファンド100%の積み立てが最もシンプルで有効です。

  • 毎月の積み立て額を決め、自動引き落としで継続する
  • 相場の上下を気にせず、積み立てを止めない(むしろ下落時は安く買えるメリット)
  • この時期にNISAの出口戦略を大まかにイメージしておく

注意:投資には元本割れリスクがあります。積み立て中も評価額が元本を下回ることがあります。

ステップ②:移行期①(子ども13〜14歳・中学1〜2年)

大学入学まで4〜5年となるこの時期から、リバランス(資産の見直し)を始めます

リバランスとは

保有している投資信託を一部売却し、現金・定期預金・国内債券などリスクの低い資産に移すことです。株式比率を段階的に下げることで、大学入学直前の暴落リスクを軽減します。

移行期①のアクション例:

移行前 移行後(目安)
株式インデックス100% 株式70〜80%、現金・債券20〜30%
  • 積み立て自体は継続しても構いません
  • 新たに積み立てる分を「現金専用口座」に振り分けて現金比率を高める方法も有効
  • 毎月まとめて売却する必要はなく、半年〜1年に1回の見直しで十分です

ステップ③:移行期②(子ども15〜16歳・中3〜高1)

大学入学まで2〜3年となる時期です。「確実に使う金額」を先に現金化しておくのが基本です。

確実に使う金額の目安:

  • 国公立大学の入学金:28.2万円(出典:文部科学省)
  • 私立大学の入学金:平均25〜30万円程度
  • 初年度授業料(国立):53.58万円(出典:文部科学省)
  • 私立大学初年度学費(平均):約147.7万円(授業料+入学金、出典:文科省令5年度版)

入学金や初年度の学費として使う分(目安100〜150万円)は、この段階でNISAを売却して現金化しておくと安心です。

移行期②のアクション例:

移行前 移行後(目安)
株式70〜80%、現金20〜30% 株式50〜60%、現金40〜50%

ステップ④:現金化期(子ども17〜18歳・高2〜高3)

大学入学の1〜2年前。受験費用・入学金・初年度学費として使う分は現金で手元に置いておきます

  • 受験料は1校3〜3.5万円程度(私立)から。複数受験すれば10万円前後になることも
  • 入学金は合格発表後に期限付きで振り込む必要があるため、すぐ使える現金が必要
  • 「滑り止めの入学金」を一時的に支払うケースも想定しておく

このタイミングでの残りNISA資産の位置づけ:

大学2〜4年生のうちに使う分(授業料×2〜3年分)はまだNISAに残しておき、大学入学後に1年ごとに取り崩すという方針が取れます。入学後なら緊急性が下がり、相場が落ち着いたタイミングで売却する余裕が生まれます。

ステップ⑤:取り崩し期(大学1〜4年生)

在学中に毎年必要な授業料分を、その年の相場を見ながら取り崩します

  • 年度が始まる前(3月頃)に翌年度の授業料分を現金化しておく
  • 残った分は引き続きNISA口座で運用し続けてよい(老後資金として継続活用も可)
  • 奨学金・アルバイト収入が入る場合は取り崩し額を減らせる

NISA口座から現金化する際の非課税枠の考え方

NISAで積み立てた資産を売却した場合、運用益に税金はかかりません(非課税)。ただし、以下の点は押さえておきましょう。

項目 内容
売却時の税金 なし(NISAの非課税メリット)
売却後の非課税枠の復活 売却した分の枠は翌年以降に再利用可能
損益通算 NISA内の損失は他の口座の利益と相殺できない
注意点 枠の再利用は「翌年以降」であり、同じ年内には復活しない

教育費として売却したあと、子どもの大学在学中に老後資金の積み立てを再開することも可能です。


暴落時の対処法

最も悩ましいのが「取り崩したい時期に市場が暴落していた場合」です。

対処法①:現金として確保済みの分でまず対応する

上記の出口スケジュールを実践していれば、入学金・初年度学費は事前に現金化済みのはずです。暴落が起きていても「今すぐ売らなければならない」という状況を回避できます。

対処法②:在学中の授業料は回復を待つ

大学在学中(2〜4年分の授業料)はまだNISA口座に残っている場合、すぐに必要なわけではないため、相場の回復を1〜2年待つ選択肢があります。その間は奨学金(給付・貸与)の活用や家計の余剰から授業料を捻出することを検討します。

対処法③:一括売却を避ける

暴落時に一度にまとめて売却するのは損失が大きくなる可能性があります。必要な分だけを複数回に分けて売却する方が、平均取得単価を平滑化できます。

対処法④:損切りせず「老後資金に転用」する

大学卒業後も相場が戻っていない場合、教育費として使い切らなかった残高を無理に売却せず、老後資金として長期保有に切り替えるという判断も合理的です。NISAは教育費目的でも老後目的でも同じ口座を使えます。


リバランスの実践:具体的な手順

手順1:現在の資産評価額を確認する

NISA口座にログインし、現在の評価額と投資元本(取得単価)を確認します。評価額が目標金額(例:大学4年間の学費合計)に近づいているかを確認します。

手順2:「いくら現金化するか」を計算する

「使う時期・使う金額」を書き出し、各ステップで現金化すべき金額を試算します。

時期 用途 必要金額(目安)
高3秋〜冬 受験料(複数校) 10〜15万円
大学合格直後 入学金 国立:28.2万円・私立:25〜30万円
大学入学時 初年度授業料・施設費等 国立:約53.6万円・私立:約120〜150万円
大学2〜4年 年間授業料 国立:約53.6万円/年・私立:約90〜120万円/年

(出典:文部科学省「国立大学の授業料・入学金」「令和5年度子供の学習費調査」)

手順3:分割して売却する

計算した現金化額を、1〜2年かけて数回に分けて売却します。毎月少額ずつ売却するか、半年に1回まとめて売却するかはライフスタイルに合わせて決めてください。


年齢別チェックリスト

子ども12歳以下(積み立て中心)

  • 毎月の積み立て額を設定している
  • インデックスファンドで長期分散積み立てをしている
  • 出口スケジュールのイメージを持っている

子ども13〜14歳(移行期①)

  • NISA口座の評価額を確認した
  • 現金比率を20〜30%程度に高める計画を立てた
  • 入学金・初年度費用の目安額を計算した

子ども15〜16歳(移行期②)

  • 入学金・初年度学費分(100〜150万円)を現金化した
  • 受験費用の現金も別口座に確保した
  • 残りのNISA資産は2〜4年分の授業料として継続運用している

子ども17〜18歳(直前)

  • 入学金をすぐ払える現金が手元にある
  • 初年度の授業料・施設費分も現金化済み
  • 在学中の授業料分はNISAに残して段階的に取り崩す計画がある

よくある Q&A

Q. NISAをいつ売っても非課税ですか?

はい、NISAで積み立てた資産はいつ売却しても運用益が非課税です。ただし、売却するタイミングによって元本割れの可能性があります(元本を下回った状態で売った場合は損失が確定します)。

Q. 現金化した後、NISAの非課税枠は使えますか?

売却した翌年以降に非課税枠が復活し、再び投資に使えます。教育費として取り崩した後も、老後資金の積み立てを再開することが可能です。

Q. 暴落して評価額が大幅に下がった。すぐ売るべきですか?

入学金など期限の迫った支出がない場合は、すぐに売却しなくても構いません。現金として確保した分でまず対応し、NISA口座の残りは回復を待つ選択肢があります。ただし「どのくらい待てるか」は家計の余裕によります。

Q. 学資保険と組み合わせた方がよいですか?

「確実に使う金額は学資保険や現金で確保し、追加で増やしたい分はNISA」という組み合わせは有効です。NISAのリスクを補う意味で、現金系の手段と組み合わせることが勧められます。

Q. 子ども2人分の教育費を同じNISA口座で積み立てています。どう管理すればいいですか?

1つの口座内で管理する場合、「子ども①分:○○万円」「子ども②分:△△万円」と用途を仮想的に分けてメモしておくと取り崩しの計画が立てやすくなります。子ども2人の大学入学が近接している場合は、特に早めのリバランスが必要です。


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