教育費ガイド

年収1000万共働きでも教育費が苦しい理由と家計の立て直し方

更新日:2026-05-21 / 全学年 / 教育費・家計管理

結論:年収1000万でも教育費が苦しくなる理由は「手取りの少なさ」「支援制度の対象外」「費用の集中」の三重苦

「年収1000万もあるのに、なぜ教育費がこんなに苦しいのか」——そう感じる共働き世帯は少なくありません。

結論から言えば、年収1000万の手取りは約650〜700万円(月55〜58万円)にとどまるうえ、高校の就学支援金や大学の授業料無償化制度が所得制限で対象外になるケースがほとんどです。さらに住宅ローン返済・老後資金の積み立てと教育費の支出が重なる時期が来ると、家計は一気に逼迫します。

この記事では年収1000万世帯が教育費で苦しくなる構造的な理由と、家計を立て直すための具体的な見直しポイントを解説します。


手取り計算:年収1000万の実態

「年収1000万」はあくまで税込みの額面収入です。社会保険料・所得税・住民税を控除すると、実際の手取りは大幅に目減りします。

年収1000万(共働き・世帯合算)の手取りイメージ

項目 金額(目安)
年収(額面) 1,000万円
社会保険料(健保・厚生年金等) 約130〜150万円
所得税 約80〜100万円
住民税 約70〜80万円
手取り合計 約650〜700万円
月換算 約54〜58万円

※夫600万・妻400万の2馬力ケースで試算。配偶者控除・各種控除の状況により変動します。

手取り月55万円から住宅ローン(月10〜15万円)・生活費(月25〜30万円)を引くと、教育費や貯蓄に回せる余剰は月10〜15万円前後というのが現実です。子2人の教育費ピーク時(塾代・大学費用が重なる時期)にはこの余剰では到底足りません。


就学支援金・大学無償化が「受け取れない」という現実

年収1000万世帯が見落としがちなのが、公的支援の所得制限です。

高校の就学支援金(2026年度時点)

高校授業料を補助する就学支援金は、世帯年収の目安として**約910万円(扶養2人の場合)**を超えると支給対象外になります(課税標準額での判定)。年収1000万世帯はほぼ対象外となるケースが多いです。

就学支援金が受け取れない場合、公立高校なら授業料約12万円/年を全額自己負担することになります。

注意:就学支援金は授業料のみが対象です。入学金・施設費・教材費などは支給対象外です。 (出典:文部科学省「高等学校等就学支援金制度」)

大学の授業料等無償化(2025年度〜)

2025年度から拡充された大学授業料等の無償化・減額制度も、世帯年収の上限が設けられています。国公立大学でおおむね年収600〜800万円程度(扶養人数・学校種別で変動)を超えると対象外になるため、年収1000万世帯は基本的に受けられません。

公立世帯との実質的な差

支援制度 年収600万世帯(受給可) 年収1000万世帯(受給不可)
就学支援金(公立高) 年間約12万円相当を補助 自己負担
就学支援金(私立高) 年間最大39.6万円を補助 自己負担
大学授業料無償化 適用の可能性あり 原則対象外
実質的な年間差 年間60〜100万円不利

年収差があっても、支援制度を加味すると実質的な教育費負担は想像以上に近い、あるいは場合によっては逆転することすらあります。


子2人の教育費シミュレーション

前提条件

  • 第1子・第2子ともに同じ進路コース
  • 文科省「令和5年度子供の学習費調査」および大学標準的費用を参考に試算
  • 習い事・塾代は含まない(別途参照)

公立コース(すべて公立)

学校段階 年間学習費(目安) 備考
小学校(6年) 約33.6万円/年 文科省令5年度版
中学校(3年) 約54.2万円/年 同上
高校(3年) 約59.8万円/年 同上
大学(4年) 約120〜160万円/年 国立:約81.8万(初年度)+生活費

子2人・小中高大すべて公立で幼児期から大学卒業まで、総額は2人合計でおよそ2,000〜2,500万円程度と試算されます。

私立コース(中学から私立)

学校段階 年間学習費(目安) 備考
小学校(6年) 約33.6万円/年 公立
中学校(3年) 約156万円/年 私立・文科省令5年度版
高校(3年) 約103万円/年 私立・同上
大学(4年) 約200〜260万円/年 私立文系:約147.7万(初年度)+生活費

私立中学の初年度は入学金・施設費が加わり150〜180万円に達することも珍しくありません。子2人が私立ルートを歩めば、中高大の期間だけで2人合計1,500万円超になります。

最も危険な「費用集中」のパターン

時期 想定イベント 年間教育費(目安)
子が中2・中1(2人同時に塾) 受験対策塾×2 +60〜100万円/年
子が私立高入学 入学金・初年度費用 +150〜180万円
大学2人重なり(3〜4年差の場合) 学費+仕送り×2 年間350〜500万円超

住宅ローンの残高が多く残っているタイミングと、大学費用が重なると月の支出がフルローン返済分だけで赤字になるケースも起こり得ます。


家計を立て直す5つの見直しポイント

1. 習い事・塾のコストを「費用対効果」で見直す

年収1000万世帯ほど、「お金があるから」と習い事や塾を無計画に増やしがちです。しかし年間30〜50万円の習い事代が積み重なると、教育費ピーク時の余力がなくなります。

  • 月謝×12か月で年間コストを可視化する
  • 「続けたい子ども本人の意欲」を確認して優先順位をつける
  • 中学受験塾は月5〜10万円が相場。2人掛け持ちになる前に試算しておく

2. 住宅ローンと教育費の「時間軸」を合わせる

住宅ローンの返済ピークと教育費のピークが重なるのが最大のリスクです。

  • 繰り上げ返済で教育費ピーク前に月返済額を下げる
  • 変動金利の場合、将来的な金利上昇シナリオも想定しておく
  • 「第2子が大学卒業するまで」の収支キャッシュフロー表を作る

3. 就学支援金が受け取れない分を自力で補う

支援制度が受けられないとわかったら、その分を自分で積み立てるという発想が必要です。

高校3年間で就学支援金の代わりに必要な自己負担分(公立なら年12万円、私立なら最大39.6万円)を積み立てておくことで、急な出費に対応できます。

4. 老後資金との優先順位を明確にする

「教育費を優先しすぎて老後資金ゼロ」は避けなければなりません。iDeCo・企業型DCをフル活用しながら、教育費の積み立ても並行して進める設計が理想です。

  • iDeCoは年収1000万世帯ほど節税効果が大きい(所得税率33%以上)
  • 老後資金と教育費を「別の口座・別の商品」で管理し、混在させない

5. 進路のシナリオ別シミュレーションを早めに実施する

「もし中学受験したら」「もし2人とも私立大に行ったら」という複数シナリオの費用を比較し、家計が耐えられる進路の上限を把握しておくことが最も重要です。


よくある Q&A

Q. 年収1000万でも教育ローンは借りられますか?

借りられます。教育ローン(日本政策金融公庫・民間銀行)は所得上限がありますが、世帯年収1000万超でも利用可能な商品が多いです。ただし、借入は最終手段として位置づけ、事前の積み立てを優先することをおすすめします。

Q. 年収1000万でも学費免除の大学はありますか?

私立大学の独自奨学金や成績優秀者向け給付奨学金は世帯収入に関係なく申請できるものもあります。大学個別の奨学金制度を早めに確認しましょう。

Q. 妻が時短勤務に戻ったら家計は大丈夫ですか?

世帯収入が800万円台に下がった場合、就学支援金の対象になる可能性が出てきます(扶養人数・課税標準で判断)。一方で老後資金の積み立て余力は下がるため、シミュレーションで確認することが重要です。

Q. 住宅ローン控除と教育費の関係は?

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は所得税・住民税から控除されます。年収1000万世帯は所得税額が大きいため控除効果も高いですが、教育費の現金支出には直接影響しません。控除分を教育費積み立てに回す設計が有効です。

Q. 子1人と子2人では家計への影響はどれくらい違いますか?

大学費用を例にとると、私立文系で子2人に仕送り込みの場合は子1人の約2倍(年350〜500万円)の出費が4〜5年続く可能性があります。2人目の誕生前後から積み立てを開始することが重要です。


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