子どもを私立中学に入れながらサイドFIREは無謀?年収700万世帯の10年試算
結論:「無謀ではないが、計画なしでは失敗する」
「子どもを私立中学に入れながら、いつかサイドFIREをしたい」——この願望は、共働きで資産形成を続けている30代後半〜40代の親に多い相談です。
結論から言うと、世帯年収700万円の共働き世帯が私立中学進学とサイドFIREを両立することは不可能ではありません。ただし「私立中学の費用がいくらかかるか」「サイドFIREに必要な資産はいくらか」の両方を正確に把握した上で、順序立てた計画が必要です。
この記事では、年収700万円世帯を例に10年分の家計シミュレーションを行い、現実的な判断基準を整理します。
※投資には元本割れのリスクがあります。試算はあくまでも参考値です。
私立中学進学の費用:6年間でいくらかかるか
まず「私立中学・私立高校(中高一貫)」に進学させた場合の費用を把握します。
授業料・施設費の年間費用
文部科学省「子供の学習費調査」令和5年度版によると、私立中学の年間学習費総額は約156万円、私立高校は約103万円(いずれも学校教育費+学校外活動費の合計)です。
| 学校段階 | 年間学習費目安 | 3年間合計 |
|---|---|---|
| 私立中学(中1〜中3) | 約156万円 | 約468万円 |
| 私立高校(高1〜高3) | 約103万円 | 約309万円 |
| 中高6年間合計 | — | 約777万円 |
※就学支援金(高校段階)を適用すると、高校3年間の実質負担は減少します。2026年から所得制限が撤廃されたため、世帯年収700万円でも就学支援金(私立高校・年間最大457,200円)を受給できます。
就学支援金を3年分差し引くと、高校3年間の実質負担は約309万円→約172万円に軽減されます。
中高6年間の実質負担試算:約468万円(中学)+約172万円(高校)=約640万円
サイドFIREに必要な資産の考え方
サイドFIREとは、完全なFIRE(資産取り崩しのみで生活)ではなく、副業・パート収入で生活費の一部を補いながら、フルタイム勤務を離脱した状態を指します。
必要資産の目安
| 月の生活費 | 副業・パート収入 | 必要な取り崩し額 | 必要資産(25倍ルール) |
|---|---|---|---|
| 25万円 | 月10万円 | 月15万円(年180万円) | 約4,500万円 |
| 25万円 | 月15万円 | 月10万円(年120万円) | 約3,000万円 |
| 20万円 | 月10万円 | 月10万円(年120万円) | 約3,000万円 |
※25倍ルール(年間支出の25倍の資産があれば引退可能という目安)に基づく試算。投資収益率は年4%想定。元本割れリスクあり。
世帯年収700万円の共働き世帯では、3,000〜4,500万円の資産形成がサイドFIREの目標水準となります。
年収700万円世帯の10年シミュレーション
前提条件
| 項目 | 設定 |
|---|---|
| 世帯年収 | 700万円(夫400万・妻300万) |
| 世帯手取り | 約47万円/月 |
| 子どもの進路 | 私立中学(中学受験)→私立高校→私立大学(自宅通学) |
| 現在の子どもの年齢 | 9歳(小4・中学受験準備開始時点) |
| 現在の総資産 | 800万円(うちNISA残高300万円) |
| 住宅ローン | 月8万円(残20年) |
| サイドFIRE目標 | 夫50歳(10年後) |
10年間の家計変化
| 時期(子どもの学年) | 主な支出 | 月の積立余力目安 |
|---|---|---|
| 小4〜小6(塾開始〜受験) | 塾代月4〜8万円 | 月3〜5万円 |
| 中1〜中3(私立中学在学) | 私立中学費用月12〜13万円 | 月2〜3万円 |
| 高1〜高3(私立高校在学) | 私立高校費用月8〜9万円 | 月4〜5万円 |
| 大学1〜2年(大学初期) | 大学費用月8万円+塾なし | 月5〜6万円 |
10年後の資産残高試算
| フェーズ | 積立額(月) | 積立期間 | 積立合計 | 運用益込み(年5%想定) |
|---|---|---|---|---|
| 塾期(3年) | 4万円 | 36ヶ月 | 144万円 | 約154万円 |
| 私立中学(3年) | 2.5万円 | 36ヶ月 | 90万円 | 約96万円 |
| 私立高校(3年) | 4.5万円 | 36ヶ月 | 162万円 | 約173万円 |
| 大学初期(1年) | 5.5万円 | 12ヶ月 | 66万円 | 約69万円 |
| 10年間の新規積立 | — | — | 約462万円 | 約492万円 |
既存の資産800万円に運用益(年5%・10年)を加えると約1,303万円。新規積立の492万円を加えると、10年後の試算資産は約1,795万円。
目標の3,000〜4,500万円には届いていません。
なぜ目標に届かないのか
私立中学進学と世帯年収700万円の組み合わせでは、教育費ピーク期の積立余力が月2〜3万円と少なく、資産が十分に積み上がりません。
現実的な解決策:「順序」を変える
解決策A:サイドFIRE目標を「子どもの大学卒業後」にする
最も現実的なのは、サイドFIRE移行時期を子どもが大学を卒業する年(夫55〜56歳)まで延ばすことです。大学卒業後は教育費がなくなり、月の積立余力が大幅に増えます。
| 期間 | 月積立額 | 5年分の積立 | 運用益込み |
|---|---|---|---|
| 大学在学中〜卒業後5年 | 月10〜12万円 | 約720万円 | 約800万円 |
これを加えると資産は約2,600万円。さらに5年継続すれば目標の3,000万円に近づきます。
解決策B:妻がパート継続でサイドFIREを夫のみに
妻が月10〜15万円のパート収入を継続しながら夫がフルタイムを離脱する「片側サイドFIRE」は、世帯の生活費の多くをカバーしやすく、資産の取り崩しを抑えられます。
解決策C:中学は公立、大学受験で塾に集中
私立中学(6年間約640万円)を公立中高(6年間約90万円)にすることで、差額の約550万円を資産形成に回せます。これだけでサイドFIRE目標が大きく近づきます。
よくある疑問 Q&A
Q. 年収700万円で私立中学とサイドFIREは「無謀」ですか?
A. 無謀ではありませんが、夫50歳でのサイドFIRE達成は厳しい状況です。55〜57歳まで目標を延ばすか、どちらかの条件を緩める(私立を公立に変える、または副業収入を先に確保する)ことで実現可能性が高まります。
Q. 中学受験の塾代が家計を圧迫しています。どう判断すればいいですか?
A. 小4〜小6の3年間の塾代合計は200〜300万円になることがあります。この期間の資産形成ペースが落ちることは避けられません。「塾代を払っても、10年後にサイドFIRE可能な資産が積み上がっているか」を試算してから決断することをおすすめします。
Q. 就学支援金で私立高校の費用がどのくらい下がりますか?
A. 2026年から就学支援金の所得制限が撤廃されました。私立高校の場合、月額38,100円(年間最大457,200円)が授業料に充当されます。年収700万円の世帯でも受給できます。ただし就学支援金は授業料のみが対象です。入学金・施設費・制服代は対象外です。
あなたの家庭のサイドFIRE×教育費を試算する
子どもの進路・世帯年収・現在の資産残高を入力すると、「サイドFIREに必要な資産に何歳で届くか」を確認できます。
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私立中学進学コースを選んだ場合の教育費と サイドFIRE達成年齢を5分でシミュレーションできます。
出典・参考資料
- 文部科学省「子供の学習費調査」令和5年度版
- 高等学校等就学支援金の支給に関する法律施行令の一部を改正する政令(令和8年政令第88号)